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トヨタ生産方式

 投稿者:多兵衛  投稿日:2009年 7月31日(金)01時18分56秒
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  「乾いた雑巾さえをも絞る」と比喩されるトヨタ生産方式ですが、これは徹底的に無駄を省くということを実践していることを意味しています。組み立て作業員が3歩かけて必要な部品を取りに行っていたところを、2歩で取りに行ける場所に部品を置くように改善すれば往復で2歩、約1秒の時間が節約できます。作業者の能力が変わらなくても、この時間の節約によって、結果的に1時間に組み立てできる数量を増加させることができます。

走りについてもこの論理が当てはまります。いま持っている筋力でも走り方を変えることによってタイムを伸ばせる可能性があるのです。でも多くの選手は、どこをどのように変えれば良いのかが分からないので、どうしてもトレーニングの量を増やす傾向になってしまいます。どこをどのように変えるということは技術と呼ばれる領域です。その技術を自分のものにするためには、それなりの量の訓練を行わなければ修得できませんが、どこをどう変えたいという明確な目標を持って目的達成のために行うトレーニングと、漫然に量をこなすだけのトレーニングでは、同じ労力を費やしてもその結果には大きな差が生じてしまうと思われます。つまりトレーニングでは選手がそのトレーニングで修得すべきポイントを自覚して行っているかどうかが大きな鍵になってしまうのです。
 

練習と筋肉痛

 投稿者:多兵衛  投稿日:2009年 7月22日(水)01時06分7秒
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  合宿などで普段より多く走り込みの練習を行った翌日、筋肉痛に悩まされることがありますが、身体のどこの部位に筋肉痛が出るかで自分の走りの良し悪しが判断できます。一般的にはその部分が筋力不足により筋肉痛になるとの理由から補強運動するという短絡的な対策にすぐ眼が向いてしまうようですが、走りの技術の完成度という別の観点から筋肉痛になる部位を眺めてみると、また違った対策が浮かんで来ます。

多くの選手が真っ先に筋肉痛になる部位は大腿四頭筋(太腿の前側)だと思います。ところがこの大腿四頭筋は大きな筋力を発生できますが、全力で力を出し続けるとわずか数秒程度しかその力を持続できないといわれる筋肉です。つまり瞬発力はあるが持久力がない筋肉です。タイムトライアル時のときの100m走でさえ、スタートから3秒程度でトップスピードの90%前後の速度領域に達してしまうので大腿四頭筋の出番がすぐに終わってしまいます。本来、それ程出番は少ないはずの筋肉なのに、多くの選手が練習負荷が多くなった際に真っ先に大腿四頭筋が筋肉痛になってしまうのは何かがおかしいということですね。

つまり大腿四頭筋が真っ先に筋肉痛になる選手は走り方に大きな欠点を持っているという裏返しの結果が出ていると考えられます。もうお分かりですね、大腿四頭筋を強化すべきなのか、あるいは走り方を見直すべきなのかが。数秒しか全力を持続できないことが証明されている大腿四頭筋の強化に挑んでも限界も近いことに気づくでしょう。でも走り方の改善には無限の可能性があります。自分の更なるポテンシャル向上を目指すには無限の可能性のある方向を選択して行くのが賢い選択といえるでしょう。

身体の前側の筋肉図
http://www.h3.dion.ne.jp/~toomo/html/kinzu_f.html

身体の背側の筋肉図
http://www.h3.dion.ne.jp/~toomo/html/kinzu_r.html
 

合宿シーズン

 投稿者:多兵衛  投稿日:2009年 7月21日(火)00時07分20秒
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  いよいよ夏休みの合宿シーズンに突入しました。合宿期間中はいつもより練習量が多くなりますが合宿で練習には落とし穴もあります。特に100mの選手の場合、合宿直後の大会でタイムを出せない選手を多く見かけます。長距離選手では合宿での走り込みがタイムに結びつくようですが、短距離選手では必ずしもそうならないケースが多く見られます。

その原因として、疲れすぎてフラフラの状態で乱れた姿勢での走り方を繰り返してしまい、今まで持っていた自分の走りのバランスを崩してしまう悪い癖が身についてしまうことが考えられます。短距離選手の場合は、たくさん走り込む練習よりも自分が速く走れる姿勢を見つけ出すための練習を行うことを念頭において、合宿に参加するのが合宿後の大会でのタイムにつながって行くと思います。

今年の清高の合宿には100m多摩選手権優勝者のOBも後輩に適切なアドバイスをしてあげるために、合宿中日から参加するそうです。どうすれば速く走れるのか様々な経験を持っているOBなので後輩たちも的確なアドバイスをしてもらえると思います。
 

目的と手段の錯覚

 投稿者:多兵衛  投稿日:2009年 5月23日(土)02時18分3秒
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  世の中では多くの人が目的と手段とを錯覚しています。トレーニングにおいても例外ではなく、トレーニング自体が何の練習メニューを何セットするのが目的になってしまっているケースも多々あるように思われます。もしそのトレーニングの目的がこのようなことであれば、それはハードな練習を克服したという達成感を得るために練習メニューという手段を利用するのであって、ハードな練習で達成感が得られれば、その練習メニュー内容は何でも良いということになってしまいます。

100m走を専門種目とする選手が、インターバルと称して立て続けに100mを何本も走り込む練習メニューというのは達成感を得るのが目的となっているように見えてなりません。フラフラの状態で全力疾走しても乱れた姿勢での走り方しかできないので、記録向上を狙うためのトレーニングという競技者本来の目的に合致した本質的な練習手段にはなっていないように思えてしまいます。

すなわち、たくさん運動したという満足感を得るための練習になるのか、あるいは高記録を狙いたい競技者のための練習になるのかは、実際の練習を実施する以前のトレーニングの計画段階で既に決定づけられてしまっていると言えます。つまりトレーニング計画の出来栄えで、潜在的な素質のある選手の芽すら潰してしまうリスクが大きくなってしまうとも言えます。
 

5W1H

 投稿者:多兵衛  投稿日:2009年 5月19日(火)01時51分44秒
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  5W1H、すなわち、who(誰が)、what(何を)、when(いつ)、where(どこで)、why(なぜ)、how(どのように)のことです。これは文章を記述する時に必要とされる要件ですが、トレーニングにおいても同様なことがいえると思います。トレーニングにおいて、多くの選手はwhat、why、howの3つが曖昧になっているように感じられます。
それは、どのような目的(why)を達成するために、何(what)を、どうやって(how)行うのかということです。

速く走れるようになりたいという願望を実現するためは何をやればできるのかという答えを考えてみましょう。多くの選手は一所懸命トレーニングしなければならないと答えると思いますが、実はこの答えは一見正しいようで間違っています。この答えの中には、そのためには何をどのようにするという具体的なことが一切含まれていないので、そのような答えしかできない選手であれば、間違いなく大きく記録を伸ばす選手に成れるはずがないと思われます。

記録を伸ばして行く選手というのは、絶えず、何をどのようにすれば、どうなるはずということを頭の中で考えているはずです。一生懸命にトレーニングのメニューをたくさん行えさえすれば、記録も伸ばせると信じてトレーニングしている選手も多いような気がしています。しかし、そのメニューのwhat、why、howの3つが曖昧であれば、いくら一所懸命苦しい思いをしてトレーニングに励んだとしても、非情にも成果というものはあまり期待できないのが現実だと思います。

トレーニングというのは自分の欠点を把握して、それをある方策を使って直して行くということを行ってこそ、見返りも期待できるものだと思います。すなわち、何かを意識して変えない限り、その結果も大きくは変わらないという大原則があるのです。
 

100m走のモデリング

 投稿者:多兵衛  投稿日:2009年 5月18日(月)01時07分29秒
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  モデリングというのはシミュレーションを行う際に数値化をすることを指す場合が多いですが、ある概念を具現化する意味でも使われます。
100m走においてのモデリングを考えてみると、あるべき走り方はスタートからの加速区間では膝関節の伸展を使った加速を行い、速度維持区間ではインナーマッスルを利用した股関節を使った走り方が理想的な走り方になるのではないかと思われます。
膝関節を使った走りから股関節を使う走りへ連続的に切替えて行く技術が100m走でのキーポイントになっているのかもしれません。
 

走りの基礎運動学Ⅴ

 投稿者:多兵衛  投稿日:2009年 5月11日(月)01時52分14秒
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  股関節を使う走りというのは足首の関節と膝関節をロックして上肢と胴体との角度変位を利用して推進力を得る走り方になります。股関節の開閉は膝関節よりも速いピッチで開閉させやすいのですが、実際問題として、膝関節がかなり屈曲している状態では上肢と股関節の変位を生じさえて力を発揮してもその反力に膝関節が耐え切れず膝関節の方が大きく動き出してしまいます。従って、股関節を使う走りというのは、膝関節を曲げて腰を落とした走りをする加速区間では使えない走り方でもあるといえます。

このように言ってしまうと股関節を使う走りよりも膝関節を使う走りの方が断然優位に見えてしまうと思いますが、100m走を例に取ると加速区間は一般的な選手の場合スタートから40m辺りまでで、残り60mの区間は速度の維持区間になってしまいます。膝関節を使う走り方では、この60mを膝関節の伸展によって発生する力によって胴体を突き上げて推進力を得ています。体重の大部分を占める胴体を突き上げる走り方では莫大なエネルギーを消費してしまうので60m辺りを過ぎると筋肉内の乳酸濃度が上昇して燃料切れ状態を起こしてしまいます。その後は慣性力と乳酸濃度が高くなって筋出力が低下してしまった筋肉(膝関節を使う走りでは主に大腿四頭筋の筋力使われます)にムチ打って走ることになります。

一方、速度の維持区間に入ったら股関節を使う走り方をすれば、自動車のシフトレバーの頭を持って前後に動かす動作のようになります。身体が起きている速度維持区間では足首の関節と膝関節をロックしておけば体重は剛体となった脚でと股関節によって支えられるので、股関節を伸展させることにより接地点が固定されているので、その反力によって股関節の位置が前に動きます。すなわち股関節の部分に相当しているのがシフトレバーの頭の部分になるのでその真上にある胴体一緒に動くことになります。膝関節を使った走りでは体重がかかっている物体をその力で突き上げて動かそうとする動きになりますが、股関節を使う走りでは体重は足首と膝関節をロックした脚の骨を介して股関節で支えることができ、股関節を伸展させて発生させる力は効率的に股関節部分を前に移動させることに利用できます。

この股関節を開閉させる動きではインナーマッスルが発生する力の反力はハムストリングスが受けます。従って見方変えればハムストリングスを使う走り方ともいえます。このときハムストリングスは感覚的には竹馬を倒して前に進む時に必要な筋力程度の力のように思われるので、身体を突き上げて走る膝関節を使う走り方に対して必要な筋エネルギーは圧倒的に少なくて済むと考えられます。股関節は膝関節よりも速い往復運動ができるので、その余裕エネルギーで股関節を速く動かせます。このメカニズムを利用することによって高速ピッチを生み出し高記録へとつながっていく可能性があるというのが私の結論になります。
 

走りの基礎運動学Ⅳ

 投稿者:多兵衛  投稿日:2009年 5月10日(日)01時30分14秒
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  推進力発揮に使える脚の関節には足首の関節、膝関節、股関節の3箇所が考えられますが、このうち足首の関節は他の関節に比べて変位量が圧倒的に小さいので身体を高速で移動させられるほどの大きな力は発揮できません。結局、推進力発揮に利用できる関節としては事実上、大きな変位が可能な膝関節と股関節の2箇所に絞られてしまいます。

走るということは胴体の移動です。胴体は作用反作用の法則により足裏の接地面からの反力を受けて動いています。つまり足裏から胴体に力が伝わるには、足首の関節、膝関節、股関節の3箇所を介さなければ反力を胴体に伝えることができません。脚の旋回方向の自由度を無視したとしても、これら3つの関節が直列になるので自由度3の機構になっています。変位による作用反作用が発生するには自由度が1であることが要件になるので、推進力を発生しているときには3つの関節のうち2つの関節はロックされて動かない状態になっているはずです。先に述べたとおり足首関節で発揮できる推進力は小さいので、どのような走り方をしても推進力の発生時には足首関節は常にロックされた状態になっていると考えられます。従って、膝関節をロックして走るのが股関節を使う走り方、股関節をロックして走るのが膝関節を使う走り方という2つの走り方に論点が絞られて来ます。

多くの選手に見られる膝関節を使った走り方では、上肢と胴体を直角にするか、あるいは一直線上になるようにしなければ大きな推進力は得られません。上肢と胴体が直角であれば、膝関節の伸展によってシーソーでの反対側重りを投げ出すような動きになるので、胴体を加速させる力が働きます。つまりスタートからの加速区間のように前傾姿勢であれば、上肢と胴体は直角を成しているので、このメカニズムで推進力が得られます。しかしスピードに乗って身体が起きてしまうと前傾姿勢を保つのが困難になるので、上肢と胴体を一直線上に配置して膝関節の伸展による力を胴体に伝えるようになります。これが意味していることは、股関節はほぼ限界まで開いた状態になっているということです。つまり上肢と胴体が一直線上に配置されるというのは、最大推進力が発揮できる接地点は股関節の後方に位置しなければならないことになります。この走り方では股間と最大推進力を発揮する接地点との距離が大きくなるほど推進力の効率が上がります。膝関節が伸び切ってたところに来てしまうまで地面からの反力を受けて推進力を発揮できますが、足が地面から浮いたとたんに反力がなくなってしまうので、慣性力によって足が後ろへ流されてしまいます。大きな推進力を発揮すれば、その反作用でその慣性力も大きくなってしまうので足の引き戻しが遅れるようになってしまいます。結局、この走り方では高速ピッチの走りというのはかなり困難になってしまうと思われます。

次回は股関節を使う走りについて論じていきます。
 

走りの基礎運動学持論Ⅲ

 投稿者:多兵衛  投稿日:2009年 5月 6日(水)01時19分4秒
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  走るためには身体のどこかの部分に変位を生じさせ続けなければ継続的な推進力は発生しません。走るという動作において変位を生じて推進力を発生させているのは脚の関節という部位になりますが、脚には変位によって比較的大きな力を発生できる関節として足首の関節、膝関節、股関節の3箇所があります。これらの関節の中でもふくらはぎの筋肉を使う足首の関節、大腿四頭筋を使う膝関節は日常生活の動きの中でも使われる頻度が高いので意識して動かしやすい部位だと考えられます。特に膝関節を使うと垂直ジャンプのように大きな瞬発力を発揮できるので、一般には膝関節の変位を使った走り方をしている短距離選手がほとんどです。そして最後の一蹴りを足首の関節を使って力を加えようとします。

このような走り方をしていてタイムを出す選手の共通点は、太腿前部の筋肉が盛り上がってふくらはぎが太いという特徴が見られます。大腿四頭筋が大きな力を持続できる時間は数秒間が限界という定説を無視したとしても、この走り方では論理的に致命的な欠点が存在します。発生できる力は筋肉量に依存するのは疑いもない事実ですが、力を発生させるのに使われる筋肉が高速運動させようとする脚の部分にあることです。高速運動させる部分の質量は小さいほど有利になりますが、パワーを発生させる筋量は多いほど力を出せても筋量の増加は質量の増加に直結しています。つまり質量が小さいほど有利となる脚なのに、パワーを上げるためには筋量を増して脚を重くしなければならないという相反する事実が生じます。運動エネルギーは物体の速度の二乗に比例しているので、仮に脚の速度を2倍にしようとすれば、その運動エネルギーを生み出すためには4倍の筋力が必要になってしまいます。筋力は筋肉の断面積に比例するといわれているので、結局4倍の筋肉量を必要とすることになり質量増加も4倍になってしまいます。このことは脚の速度は筋重量の増加によるマイナス要素で脚の速度には限界点を生じてしまうことを暗示しています。男子の100m選手の場合、10秒8辺りに大きな壁があるように思えるので、この走り方では一所懸命トレーニングをしても、その辺りの記録で自己ベストが終わってしまうように感じています。

もう一つの走り方として股関節の変位を利用する方法があります。つまり大腿部と胴体との変位を利用して推進力を発生させる走り方です。股関節を動かす筋肉は身体の腹部にあるインナーマッスルと呼ばれる筋肉群です。インナーマッスルを使う走り方というのは脚の質量は増加させずにパワーを増大させるというソリューションになっています。高速で運動させる脚の部分ではない胴体内部の筋パワーを使うのですから、筋肥大で筋質量が増加しても高速運動部の質量増加にはつながりません。多くの陸上競技の指導者たちが経験から股関節を使った走りと口にするのには、論理的にも正しいソリューションになっているといえるでしょう。
 

走りの基礎運動学持論Ⅱ

 投稿者:多兵衛  投稿日:2009年 5月 4日(月)02時21分50秒
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  体重を支える機能と推進力を発生させる機能とを完全に分離することができれば人間はもっと速く走れると考えられます。自転車というのはまさにそれが実現された発明と言えます。前後2つのタイヤで地面に鉛直方向の体重を支え、地面との接地点ではタイヤの回転により水平方向に推進力を生み出すのが自転車の原理ですが、人間の走り方もこの原理に近い動きにできればスピードを出せる走りになると思われます。つまり接地前後の足の動きは身体の真下で接地して、しかも足の奇跡はタイヤのように円弧を描くのが理想的な走りとなると考えられます。接地前後では足の奇跡が円弧を描くような動きが実現されるとすれば、股関節から接地点までの脚の半径が接地前後で変化をしないということになるので、接地前後では膝関節の角度にも変化がなく一定でなければこの条件が成立しません。
すなわち膝関節を一定に保ったまま推進力を発生させる方法が自転車の原理に近い動きになるので、膝の伸展を使って推力を発生させるような方法にはならないのです。これが股関節を使った走りと言われる所以です。膝関節を固定するのが必要条件になってしまうと、股関節の所から推進力を発生させてやる方法を取らなければなりません。それが股関節を使う走りと言われるものになっていると思います。
 

走りの基礎運動学持論

 投稿者:多兵衛  投稿日:2009年 4月29日(水)01時42分2秒
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  スポーツ学の大学教授の論文のような見出しをつけてしまいましたが、ニュートンの運動力学と力のベクトルの合力を元に速く走る走り方というものはどのようにあるべきかを論じたいと思います。

まずスタートからの加速区間においては前屈姿勢と膝の伸展により加速が行われますが、この加速では主に大腿四頭筋の筋力が使われています。接地足が地面を押すときには発生した力と同じ分の反力を大腿四頭筋が受けています。その反力が身体に伝わった結果、身体が動いて行きます。摩擦がなければ力が加え続けられる限り物体は加速して行きますが、膝の伸展による加速では大筋力の大腿四頭筋の持ち主であっても、物理的に膝が伸展できる最大速度で到達できる走速度が決まってしまうと考えられます。つまり膝が開くという動きには、必然的に上下肢間の角度に変位が生じるまでの時間が必要になってしまうので、大腿四頭筋の筋力を限りなく強化したしても筋肉の反応速度の限界点が膝の伸展最大速度を決定づけることになります。同レベルの記録の選手とレースを行った時に、スタートからはいつも先行しているのに後半追いつかれてしまうタイプの選手は膝の伸展を使った走り方をしている典型的な例だと考えられます。このような走り方をしている選手の場合、成人の体格へ成長して行くに連れて体重が増えると自己ベストからどんどん遠くなって行く運命をたどるのではないかと推測しています。

膝の伸展を使う走り方ではもう速度が上がらない速度に到達した後の走り方というのは接地足の地面に対する衝突速度を上げる走り方になると考えられます。つまり接地している間は膝関節を固定して接地足が地面に衝突した際に発生する反力を身体へ伝えることによりさらに加速して行く方法です。この速度域では身体はかなりの速度を持って動いているので、さらなる加速をしようとして後ろへ蹴るような衝突の動きをしてしまうと、力のベクトルの合力により身体を前に倒すような力が増えると考えられるので、効率的な走り方にはならないと思われます。静止時に真上にジャンプするように身体の真下方向に足を蹴り下して衝突させれば、その衝突力とそのときの身体の移動速度により発生する摩擦力との合力で推進方向の分力成分が生じます。つまりこの推進方向の分力成分でもって更なる速度アップを狙うことが可能になります。この衝突力を増大させるためには腸腰筋などを動員する骨盤の動きのコントロール技術が必要になるようです。もちろん地面からの衝撃力を受けた際にその力を推進力として有効に活用するためには。背骨の関節をロックして身体を剛体に保てるような上体各部のコントロールも欠かすことはできません。絶えず全力での疾走しなければならない短距離種目になるほど、そのコントロールの難易度も並大抵のものではなくなって来てしまうと思います。こうやって考えてみると100m走というのは誰でも走り切れる距離ですが、凄い記録を出すためには正確かつ超一流の職人技が必要とされる競技ともいえるでしょう。一見誰でもできる簡単な競技のように見えても、実際は奥のかなり深い競技だと思います。
 

走りのアルゴリズム

 投稿者:多兵衛  投稿日:2009年 4月24日(金)01時47分32秒
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  アルゴリズムというのはコンピュータ演算における計算のやり方という意味で用いられる言葉です。例えば、99x9という演算を行うプログラムを作る時に、ある人は99を9回足し算するような方法を考えるでしょうし、別の人は99を10倍した値から99を引き算する方法を考えるかもしれません。最終的に得られる結果は同じであっても、そこへ至るまでの道筋には違いがあります。もしこの計算を暗算で行おうとするならば、後者のやり方を行った方が多くの人は早く計算結果が得られるはずです。このように世の中にはやり方によって結果を得るまでに要する時間には大差が生じてしまうことが多々あります。
走りの結果というのは記録となりますが、選手一人ひとりの走り方にも個性があるので走りというものにもアルゴリズムに酷似する概念が存在しているように思います。ある種のトレーニングによって成り行きでに出来上がって来たアルゴリズムなのか、あるいは選手の意図的に行われているアルゴリズムなのかでは、今は同じ記録であってもその将来の伸びには大きな差を生じてしまうと考えられます。結局、伸びる可能性がある選手というのは意図的なアルゴリズムを絶えず試行錯誤している選手ということになってしまうでしょう。逆説的に言えば、アルゴリズムの概念を持たずに単に必死にトレーニングしているだけの選手であれば、記録が伸びる可能性も運次第になってしまうということになると思われます。
 

朝原選手の新刊

 投稿者:多兵衛  投稿日:2009年 2月10日(火)01時19分10秒
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  最近発売された朝原選手が著した「肉体マネージメント」という本を読みました。やはり長年に渡ってトップレベルの座を維持できた背景には朝原選手のポリシーがありました。アスリートにとって自分の今の力量を分析把握できる能力が長年に渡って朝原選手が活躍できた源のように感じられました。その本の中で朝原選手が述べている「感覚」に対する追求心が30歳半ばになってもトップレベルの選手として活躍していた原動力になっていたようです。自分の身体は自分自身でマネージメントするというコーチなどの他人には頼ろうとしない姿勢が朝原選手の長い現役生活の柱となっていたように感じられました。  

ターゲットとプロセス

 投稿者:多兵衛  投稿日:2008年11月29日(土)00時55分9秒
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  どのようなことにでも取り組むにあたりターゲットとプロセスが定まらないと中途半端にことが終わってしまいます。ターゲット(target)というのは標的とか目標という言葉に和訳されていますが、達成しようとする到達点(ゴール)のことです。プロセスとは、そのゴールにたどり着くために企画された手段や手順のことです。これを陸上競技の選手に適用すればターゲットは種目とその突破を目指す記録です。そしてプロセスはどのような方法でそのターゲット達成を目指すのかという実際のトレーニング内容の計画です。
真のアスリートとして陸上競技に取り組む選手であれば、まず真っ先に自分がやりたい専門種目を決めなければターゲットも定まらないのでプロセスも漠然としたものになってしまいます。

実際、選手たちの練習内容をしばらく傍観していると明確なターゲットとプロセスを考えている選手かどうかが分かってしまいます。つまり素質を伸ばせる可能性の大小が行動から推測できてしまうのです。傍観していた選手が、その場で行っているレーニング内容がその種目に対して効果があるのか疑問符であったとしても、試行錯誤している選手とただ漫然とやっているだけの選手なのかは判別できてしまいます。

このことは社会で言動を評価される場合の観点と全く同じともいえます。これを一言で表現すると一貫性の有無になります。何かの点で一貫性が見られるということは、背景にはある思想の存在を意味しているので、そのような思想の存在がない場合には言動に一貫性が見つけられないのです。普段何気なく行っていることでも人生経験が豊富な年代の人たちの眼には深いことまでさらけ出してしまっているということです。
アメリカのサブプライム問題に端を発して新卒学生の就職活動が氷河期に突入してしまいましたが、企業の採用担当者はそのような視点で応募してくる学生たちを観察していると思いますので、トレーニングを通じてターゲットとプロセスへの意識を養う訓練をしておきましょう。選手としてターゲットをクリアできるかどうかは別として、それは自分の将来への道を開く大きな財産になると思います。
 

「夏から夏へ」

 投稿者:多兵衛  投稿日:2008年11月24日(月)02時17分4秒
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  いろいろとあってしばらくぶりの書き込みになってしまいました^^
先日、昨年一世を風靡した「一瞬の風になれ」の作者、佐藤多佳子が世界陸上を部隊に書き下ろした「夏から夏へ」を読みました。北京オリンピック400Rで銅メダルを獲ったメンバー、塚原、高平、末續、朝原の各選手にインタビューしながら書き下ろしたドキュメンタリーです。内容も興味深く面白かったので夢中になって読んでしまいました。
流石にこのクラスの選手ともなると自分が目指そうとするターゲットをはっきり口に出せていますね。多くの普通の選手たちは練習すれば速くなれるという漠然とした思いしか抱いていないように思えてしまうのですが、このクラスの一流選手ともなると誰もが目標を達成するためには、このような練習が必要というターゲットからブレークダウンされたトレーニングのやり方をとっています。それも各自が自分の信念に基づいてそれそれのやり方で行っています。何事も一流を目指すための必要条件をこの「夏から夏へ」を読んで認識させられました。一流になった選手は大勢の人と同じことはやらなかった選手ということです。そこには一貫した思想と理論もあります。思想と理論なくして行うのは無謀ですが、自分の頭で考えた理論に基づいてトレーニングを行うのは未知の可能性を秘めています。ただそれがうまく行くかどうかは神のみぞ知るということだと思います。
 

ワールド・アスレチック・ファイナル

 投稿者:多兵衛  投稿日:2008年 9月11日(木)06時36分46秒
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  今週末にワールド・アスレチック・ファイナルがドイツのスツットガルトで開催されます。実は私、今シュツットガルトに来ています。残念ながらワールド・アスレチック・ファイナルの観戦ではなく仕事でです。その大会が始まる前日の金曜日にドイツを離れるので、ちょっぴり残念な気がしています。世界大会を観戦できる機会はそんなにないので、もう少し仕事を入れて帰国のスケジュールを延ばせばよかったとちょっぴり後悔しています。  

ボルト選手の200m世界新

 投稿者:多兵衛  投稿日:2008年 8月21日(木)02時23分24秒
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  北京オリンピックの男子200m決勝では他の選手を大きく引き離す圧倒的な速さでボルト選手がゴールしましたが、他の選手の走りと比べてボルト選手の走りには大きな特徴が見られました。それは150m過ぎでも他の選手を上回る高速ピッチ、コース横のレールを走るカメラが捕らえた上下動しない腰の位置、それと股関節をあたかも縄跳びをするときの手首のような骨盤の動かし方でコントロールしている走り方だったことです。正に、これぞ職人技の走りというサプライズでした。ボルト選手の走りを見て、自分の走りに欠けている要素に気づいた選手も多いことでしょう。  

100m走は職人技の完成度を競う競技

 投稿者:多兵衛  投稿日:2008年 8月18日(月)01時09分35秒
返信・引用 編集済
  不思議なことに専門種目が100mから、より距離の長い種目へとシフトして行く選手は数多く見かけるのですが、その逆の例というのはほとんど皆無です。北京オリンピックの100mで金メダルを獲ったボルト選手は正にその例外中の例外だともいえるでしょう。

なぜ短距離から中長距離種目へのシフトという現象だけが起こっているのか、その原因は競技種目の総歩数にあると考えられます。11秒台半ばで走るクラスの男子100m選手ではスタートから50歩程度でゴールに達します。1500m走ではゴールまで約1000歩が必要と思われるので100mに対しては約20倍の歩数が必要になります。100m走では一歩の接地の失敗が総歩数の2%に相当してしまいますが、1500m走ではたったの0.1%にしかなりません。つまり100m走ではたった一歩の失敗でも記録への影響度が距離の長い種目に比べて格段に大きくなってしまいます。それも中長距離のようにペース配分がされた走りではないので、全力疾走で失敗のない走りというのが100m走では要求されるのが100m走の一番難しいところだと思います。

それがどういうことを暗示しているのかというと、スタートからゴールまで身体をどのように動かして行くかという正確な動きを常に頭に描いて、それを実現するためのトレーニングを行っていなければ100mの記録はあるところで頭打ちになってしまうということです。失敗歩数を少なくする努力がなければ、下手な身体の動きでどんなにたくさんの走り込み練習したとしても、記録向上へはつながりにくいというのが100m競技の特徴ともいえます。裏返せば、失敗した走り方と上手くできた走り方の違いを選手自身が分からないまま練習を重ねてしまい、下手な動きが身体に染み付けてしまう悪循環に陥るから記録も伸びなくなってしまうということです。

正確な身体の動きを全力疾走でも正確に決められる職人技の完成が100m選手には要求される能力だと思います。そこに気づかず我武者羅に猛練習しても記録が伸びず、より長距離へと専門種目をシフトして行ってしまう選手が多い原因となっているのではないかと想像しています。

一見、馬力競争のように見えてしまう100m走ですが、一歩一歩の失敗が記録に大きく影響してしまうことを考えると、馬力よりもいつも正確に発揮できる職人技を競う競技というのが私の感想です。
 

飲酒とスポーツ選手のパフォーマンス

 投稿者:多兵衛  投稿日:2008年 8月 4日(月)00時40分14秒
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  大学生ともなると成人も多いので飲酒する機会も多いと思います。アルコールには利尿作用があるので、スポーツ選手が深酒し過ぎてしまうと脱水症状によって翌日のトレーニングに影響が出てしまいます。特に暑い夏場は発汗だけでも脱水症状を起こし易くなるのでアルコールの影響がそれに拍車をかけてしまいます。

脱水症状の初期症状では手足や腹筋の痙攣が起こり易くなります。もし筋肉が大きな力を発生しているときに、運悪くその部分が痙攣を起こしてしまうと肉離れなどの怪我に至ってしまう危険もあります。自己のパーフォーマンス向上を目標に夏場に追い込んだ練習を集中的に取り組もうとする際は、脱水症状を起こさないように日常生活の中でも身体のコンディショニングにも気を配ってこそ本物のアスリートである証だと思います。コンディショニングへの気配りがおざなりになっている選手がいたら、アスリートたちの眼から楽しむための道楽でやっている人々の部類としか映らないでしょう。

脱水症を予防するためには水分の補給はもちろんのこと塩分の補給も必要です。夏場の練習での水分補給量は15分ごとに100ml程度が目安とされています。汗で塩分やミネラル分も失われてしまうので単に水の補給だけでなく2時間で500mlのスポーツドリンク1本程度の割合で摂取するようにもしましょう。飲み物は冷たい方が早く体内に吸収されるので、ペットボトルクーラーなどを使って飲み物をなるべく冷たく保つような工夫も必要です。


スポーツ栄養士の方がスポーツ選手とアルコールについての記事を書いています。

http://www.fujitv.co.jp/sports/sports_column/oishii/oishii_10.html

 

スプリントクリニック

 投稿者:多兵衛  投稿日:2008年 7月29日(火)01時20分43秒
返信・引用
  200mの元中学記録保持者で現在都立高校の先生がスプリントクリニックとして様々な理論、知識、トレーニング方法についてホームページで紹介していますので参考にしてください。内容は専門レベルの高い体育学の見地からの体系としてまとまっています。自分は本物のアスリートと自負している選手であれば、当然、日夜、様々な理論やトレーニング方法を勉強しているはずなので、既に相当な知識は持っていると思いますが、このスプリントクリニックのページは知識に磨きをかける上でも貴重な情報源になります。

総じて体育学的にはトレーニングは出力(筋力)強化ということにポリシーがあるようですが、私は工学的な見地から理に適うメカニズム、素性のよい(発展性のある)技術、ロバスト性(外乱に強い)に重点を置いたポリシーでいます。つまり、走り方の設計図を仕上げるのが最優先で、その設計図に登場しない筋力は強化不要というポリシーです。体育学では経験的に知られている必要とされる筋肉を予め補強する考え方ですが、工学的な考え方では設計図で不要としている機能部品は取り外すというコストダウンの考え方になるので、トレーニングのやり方も全く正反対に近いアプローチになって来ると思います。互いにオリンピックの金メダル選手を育てたアメリカのコーチの走理論でも相反する主張の部分があるのでトレーニング理論や走理論というものには正解はないと考えています。

http://www10.plala.or.jp/azzurri/sprint/

 

腕振りタイミングの調節方法

 投稿者:多兵衛  投稿日:2008年 7月26日(土)02時01分21秒
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  腕振りタイミングの調節は肘の開角度を調節するのが最も簡単な方法になると思います。つまり肘を開いて肩と手首を結ぶ線の長さ(すなわ腕の回転半径)をより大きくすれば、腕を振るにはより大きな力が必要になるので腕の動きが鈍くなります。それが結局、腕の移動を遅らせることになるので、早すぎるタイミングを遅らせることに応用できます。メカニズム的にはこの方法で腕振りのタイミングを調節できるのですが、実際はそんなに単純な動きではありません。
7月21日の記事に添付した2人の選手を比較すると分かると思いますが、写真上段の選手は腕が動くに連れて肘の開角度も変化して行く走り方をしていますが、下段の選手は肘の角度をほぼ一定に保つような走り方をしています。腕の振れ角度に応じて肘の開角度もコントロールして行くというのは走技術の世界です。
腕の振れ角度と肘の開角度の組み合わせ方は無限にあるので、自分の走りに適した上腕と下腕の動かし方を見つけ出すにはそれなりのトレーニングを必要とすると思います。これもドリルを中心としたトレーニング方法でなければ修得できない技術だと思います。

100m走は単純に全力疾走しているだけの競技に見えますが、速く走れるようになるための背景では様々な走技術の修得が必要になります。その技術修得の多くが、実際にはドリルを主体としたトレーニング方法でしか成し得ないというのも現実でしょう。ここにトレーニング方法のノウハウを持っている強豪校の強みがあるように思います。

もし、トレーニングと称して実際に行われていることが、ただ走ったり、補強や筋トレをしているだけのことであったら、それは見た目の形を真似ているだけに過ぎません。たくさんの練習をこなしたという自己満足は得られるかもしれませんが、絶えず真剣勝負に挑む競技者としてのトレーニングのあるべき姿からは程遠いものになってしまうと思います。
 

100m走腕振りタイミング

 投稿者:多兵衛  投稿日:2008年 7月24日(木)01時56分56秒
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  14大学対校のビデオから100m走電大生の腕振りタイミングを検証してみました。
11秒40、11秒57、11秒85、12秒11の選手は概ね妥当な腕振りタイミングで走っていました。ただ、12秒11の選手はタイミングとしてはほぼ妥当なのですが推力に活かせるような腕振りが出来ていません。硬直したような腕振りをしています。これはどうも30m辺りから指を拳のように力を入れて握り締めてしまう癖があるようです。俗に言う肩に力が入ってしまい、無理やり腕を振っているようなぎこちない動きの腕振りになっています。後半でも指をバーのようにして走るように改善するだけでも簡単に11秒台で走れるようになると思います。指を開くと腕が硬直状態になってしまうのが緩和されます。
11秒92の選手は右腕は妥当なタイミングなのですが左腕のタイミングに狂いがあるようです。後ろから前へ移動する際の左腕を振るタイミングが早過ぎて右足が落ちる時間が早まって大きなブレーキが発生する位置での接地になっています。
最後に11秒76の選手ですが完全に腕振りタイミングが合っていません。この選手の腕振り以外の点を見れば11秒50前後で走れないのが不思議に思われるほど発展性のある良い走り方をしています。正しい腕振りのタイミングをマスターさえすれば、すぐに11秒50を切れる選手に成長できると思われます。

腕振りタイミングの基本は、支持脚(接地している脚)が最大荷重を受けた瞬間に、後ろから前に移動する腕の肘が上体の真横の位置にあることです。つまり、このときに後ろから前に移動している上腕が真横から見て上体と重なった位置になっていることです。タイミングが合っていない選手は、肘の位置が前方に進み過ぎてしまっています。100分の1秒単位というレベルでの腕振りタイミング合わせになるので、意識して取り組まないとなかなか修得できる技術ではありません。合宿などでビデオを使って確認しながら改善に取り組むのがよいかもしれません。ビデオは1秒間30コマで撮影されるので1コマは30分の1秒という時間です。
 

訂正

 投稿者:多兵衛  投稿日:2008年 7月23日(水)23時19分52秒
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  7月5~6日の14大学対校100m分析の記事中で一部の選手のデータが間違っていました。お詫びして訂正します。正しくは以下の通りです。

11.40/6.2/9.6 [11.4] ○
11.57/6.3/9.4 [11.6] ○
11.76/6.4/9.3 [11.7] ○
11.85/6.5/9.3 [11.7] ▲
11.92/6.3/8.9 [12.2] ▽
12.11/6.6/9.1 [12.0] ▲
 

14大対校100m決勝の1コマ

 投稿者:多兵衛  投稿日:2008年 7月23日(水)01時04分3秒
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  先日の14大対校100m決勝レースを撮影したビデオを観察していたら経験的に11秒30の壁があると感じていたことを裏付けるヒントを見つけました。写真は60m地点(風向計の位置)の真横から撮影した様子ですが、先頭集団5選手のゴールタイムは10秒98~11秒17、後方集団3選手のゴールタイムは11秒34~11秒51です。また着順は1着が5レーン、以下4、3、6、2の順で先頭集団がゴールし、7、8、1レーンの順で後方集団の選手がゴールしています。
この集団の境目に11秒30という線引きあるのですが、それぞれの集団の中の選手には共通点が見られます。後方集団の選手たちは皆身体の前傾量が大きく、先頭集団の選手たちは多くがほぼ鉛直に立った姿勢で走っています。後ろに映っている風力計の支柱や吹流しの支柱は鉛直に立っているのでこれらと比較してみると身体の前傾量が一目瞭然です。先頭集団の中でもこの時点で身体の前傾量が他の選手よりも大きめだった6レーン、2レーンの選手はゴールでは4着、5着と遅れていました。
このレースで得たデータから経験的に感じていた11秒30の壁というのはダイナミックな状態にある姿勢をコントロールする技術が作り出す壁のような気がしてきました。ダイナミックな動きの中で身体の傾斜を絶えず鉛直に保って走るというのは、いくつもの高度な技術や研ぎ澄まされた感覚を修得して実現できることだと思います。ただ単に何本もの走り込みを行ったとしても、身体がヘトヘトになった状態で走り込みを行っても、人間疲れてくるとどうしても前傾して走ってしまうのでこの技術修得の練習にはなりません。この技術を意識して行うドリルを実施するか、十分な休養を入れたインターバルで修得して行くかという方策になると思います。いつも正確な位置に接地できる技術、遊脚の引き戻し遅れを生じさせない技術、体幹軸を形成させる技術など様々な要素技術がある上に成り立つのが身体を鉛直に保って走る技術だと思います。この身体を鉛直に保って走れる技術が11秒30突破の主要な要件になっているとしたら、その技術を作り上げるための体系的なトレーニング手法を採らないかぎり技術の修得は困難だと思われます。今日は何mと何mを何本ずつとかいう質レベルのトレーニング計画だけでは、到達できる目標レベルではないと思います。裏返せば実際には多くのトレーニングがそのレベルでの質で行われているから11秒30突破が現実にはかなり高いハードルとなってしまっているのかもしれませんね。
 

100mでのフォーム分解写真

 投稿者:多兵衛  投稿日:2008年 7月21日(月)02時35分32秒
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  先日の14大学対抗で撮影したビデオから電大生のフォーム分解写真を作成してみました。撮影地点では他の選手と重なって映っていた選手がほとんどだったので、レースでは先頭を走っていた選手2人で分解写真を作成しました。トップスピード領域だと思われる60m付近(後ろに映っている風向計が60m地点)でのフォームです。2人の選手のゴールタイムは11秒40と11秒85と0.45秒の差がありましたが、走りのフォームの違いは素人目にも一目瞭然だと思います。4つの分解写真がありますが、この間、ビデオの4コマで、たった0.1秒間での動きの変化です。

上下の写真を見比べると誰でもとちらの選手が11秒40で走った選手なのか、何も知らない素人でも一目で判別できてしまうと思います。それは素人でも1コマ目と2コマ目のフォームの違いから感じ取られることだと思います。
もし、この2人の選手の違いを走り込んだ練習量の違いと考えた人がいたら、それは大きな間違いです。走りこんだ距離という観点では11秒40で走った選手は、おそらく11秒85で走った選手の30%にも満たない距離しかないと思います。ウォーミングアップで走る距離を含めても1日の練習では1km以下の距離しか走っていません。1週間の練習日数もほぼ同じ程度なので3倍以上もの練習量がある選手の方が記録が伸びるというのが常識だと思われてしまうのですが現実はその逆の現象になっています。これが練習内容の質の違いの結果というものになっていると思います。11秒40の選手は練習の時に絶えず前もって考えた様々な走りのフォームでの効果を試すということを行っています。多くの選手では前もって効果を試す走りのフォームを考えるという予習の意識がないように見受けられます。その違いが同じ練習時間を費やしても効果として手に入れられることに差が出てきてしまうように感じています。
この11秒85の選手は現状の走り方でもアゴを引いて走るように意識して練習すれば0.2秒から0.3秒は簡単に速くなれると思われます。現状の走りでは上体の前傾量が大き過ぎるので前に倒れ込んでしまわないように後頭部を後ろにして重心のバランスを取っている走り方になっています。この走り方ではキックで発生する力が身体が倒れこまないように上体を起こすことに使われてしまうので推進効率が落ちてしまいます。アゴを引いて走れる上体の前傾量に抑えて走る練習をすれはキックの推進効率が上がって記録も伸びると考えられます。このように改善すべき点を意識した練習をしているか否かで同じ練習時間でも得られる成果が違ってきてしまうと考えられます。

この2人の分解写真を比較すると走り方のメカニズムそのものに大きな違いが見つかります。その違いが遊脚(引き戻し足)の戻り速さの差となって現れています。そのメカニズムの違いを見抜いた選手がいたら、それはいつも走り方を相当研究しながらトレーニングをしている選手でしょう。そのような選手なら大きく飛躍できる可能性を秘めていると思います。
(写真をクリックすると拡大できます)
 

男子100m11秒30の壁・続編

 投稿者:多兵衛  投稿日:2008年 7月17日(木)01時57分15秒
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  11秒30をクリアできる選手の走りに共通している目立つ特徴は、後半でも後ろへキックした足の引き戻しが速いということです。それがどのようなことを指しているのかというと接地した瞬間には、もう一方の引き戻している足の膝が接地足の膝と並ぶ位置まで戻っているということになります。それが100mの終盤でも既に出来ている選手であれば走り込むことによって11秒30突破も夢ではないと思います。

しかしながら多くの選手はそのような走りができていないのが現実の姿だと思います。それはキックで加速する際も、その足を引き戻す際も大腿四頭筋だけを使った走り方をしているのが原因だと考えられます。大腿四頭筋は大きな力を出すことができる筋肉ですが、その出力を持続できる時間はわずか数秒間しかないというのが定説です。100m走は無酸素運動になるので筋肉がパワーを出すと筋肉中に乳酸生成されます。筋肉中の乳酸濃度があるレベルを超えてしまうと筋出力を発生させる化学反応が鈍くなり筋出力が急激に低下してしまいます。トレーニングによって筋肉の耐乳酸性をある程度は向上させることが出来るそうですが、大腿四頭筋の出力は通常6~8秒程度の持続時間しかないと言われていますので、トレーニングで向上出来るレベルは、せいぜいその10%、20%アップというレベルが限界だと推定されます。このように考えて行くと全てが大腿四頭筋だけに頼る走り方をしている限り、どんなにたくさん走る練習を積み重ねたとしても11秒30突破は届きそうで達成できない目標になってしまうはずです。大腿四頭筋だけに頼らない走り方を身に付けること、それがすなわち走技術の修得という困難な課題に直面することになってしまいます。この難題をどのような走技術を使って克服して行くのかは選手の自由選択ですが、もし走技術というものに意識がない選手であれば、どんなに練習したとしても11秒30突破というのは偶然の奇跡が起こらない限りあり得ないことだと思っています。
 

100m走後半での失速

 投稿者:多兵衛  投稿日:2008年 7月11日(金)01時59分57秒
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  オリンピックで金メダル競争をするクラスでも100m走の後半で失速が生じてしまうことは100m選手なら誰でも知っていると思いますが、それがタイムに影響する程度を把握している選手はほとんどいないと思います。インカレ標準記録突破にあと0.1秒というクラスの選手なら話は別ですが、標準記録突破とは無縁のレベルの選手にとっては後半の失速でのロスタイムを少なくしようするための練習に励むのは全く無駄な努力です。その根拠を順を追って説明していきます。

昔、12秒5で走った選手の特性を分析したことがありますが、100m走の特性はスタートから10m地点でトップスピードの約60%、15m地点で約90%の速度に達します。その後、速度の上昇が鈍り40m辺りでトップスピードに達します。40~70m付近までは、ほぼトップスピードで走り、その後、ゴールまで徐々に失速していきます。ゴール時の速度はトップスピードの約90%になってしまいます。このサンプルの選手ではトップスピードが9m/sだったので、12秒5というタイムからすると前半のスタート加速が苦手な後半追い込み型の選手です。

この選手の例で後半70~100m区間での失速によるロスタイムを計算してみると、この区間は平均8.5m/sで走ったことになるので、ラスト30mの所要時間は3.5秒になります。もし全く失速せずにトップスピードを維持できたと仮定した場合の所要時間は3.3秒です。したがって、そのは差0.2秒になります。オリンピッククラスの選手でも失速があることを考えると、このクラスの選手がどんなに頑張って練習したとしても失速を半減させるのが限界だと思われます。もし、それが実現できたとしても、0.2秒の半分の0.1秒しか短縮できません。つまり莫大な努力をしたとしても、後半の失速に着眼していては0.1秒の短縮しか成果が期待できないのです。すなわち、このクラスの選手が記録向上を狙うための着眼点としては後半の失速を少なくするという練習に飛びつくのは間違っているという結論になります。これはタイム短縮のために着眼すべきことは別のことにあるということを物語っています。
 

男子100m11秒30の壁

 投稿者:多兵衛  投稿日:2008年 7月 7日(月)02時48分13秒
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  男子100m選手では11秒60に大きなハードルがあるようで、この11秒60を境にそれ以上速い選手が激減してしまいます。さらにその先の11秒30にもハードルがあって、11秒30をクリアできる選手はさらに激減してしまいます。
先の14大学対校でも11秒30をクリアできるレベルの選手となると僅か数名でした。100名近いエントリーがあった中での数名です。
経験的に11秒60というレベルは力任せに走る練習を積めば到達できるレベルに思えます。しかし11秒30をクリアできるというレベルは着地時のブレーキ力を上手にさばく技術が必要なように思えます。それは着地時に発生するブレーキ力で上半身の姿勢が崩れないという技術です。つまり着地時に上半身が一つの剛体となっていることが必要です。それを実現するには2通りの方法があって、背筋力、腹筋力を鍛えて筋肉パワーで上半身の剛体状態を作り出す方法と、着地時の姿勢を整えてブレーキ力を背骨の軸で受け止めて上半身の崩れを抑える方法です。前者は背筋や腹筋の筋トレで実現できるものですが後者は走技術の世界です。技術の世界はそこに選手自身が意識してトレーニングを行わない限り実現できるものではないので、多くの選手は筋トレという手段を選んでいると思われます。しかし、現実には背筋や腹筋を必要とされるレベルまで強化できない選手が多いのが11秒30という壁を作り出しているように思えます。

14大学対校で100mに出場した電大生の選手の走りを観察してみると、残念ながら11秒40で走った選手の他は、現時点で11秒30をクリアできる技術力がありそうな選手は見当たりません。11秒30というレベルは100m選手にとってはかなり高いハードルになっていると思います。
 

14大学対校100m分析・続編

 投稿者:多兵衛  投稿日:2008年 7月 6日(日)01時29分53秒
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  先の14大学対校100m分析の続きです。

後半50~100mでの平均速度を元に仮想タイムを算出してみました。この仮想タイムは、私がそのレースで発揮された走力から対策ポイントを見つけ出すための指標としているものです。経験則から仮想タイムは100mを平均速度で走ったと仮定したタイムに1秒を加算した値として計算しています。
判りやすく例えれば、100mを10秒フラットを狙おうとするならば、その選手が10m/s以上の走力を持たなければ10秒フラットでは走れません。実際はスタートから徐々に加速して行くので10m/sの走力では間違っても10秒フラットには届きません。そこでこの加速部分で余分にかかるタイムとして1秒を加えています。この計算式では10m/sの走力を持つ選手の仮想タイムは11秒0となります。

先の6選手について仮想タイムを算出した結果をカギ括弧内に示しています。もし、そのレースで大きな失敗点の自覚がないのならば、実際のタイムが仮想タイムとほぼ同じなら走力相当の走り(○の選手)です。実際のタイムが仮想タイムより0.1秒以上遅い場合は、前半区間で走力相当の力が発揮できていないことになり(▲の選手)前半のスタート加速に弱点が潜んでいます。逆に実際のタイムが0.1秒以上仮想タイムより速い場合は、後半区間で走力が発揮できていない選手(▽の選手)です。これに該当する選手はトップスピードの持続技術に弱点があります。

11.40/6.2/9.6 [11.4] ○
11.57/6.3/9.4 [11.6] ○
11.76/6.4/9.3 {11.7} ○
11.85/6.5/9.3 [11.7] ▲
11.92/6.3/8.9 [12.2] ▽
12.11/6.6/9.1 [12.0] ▲

レースで大幅タイムロスを起こすような失敗点の自覚があれば別ですが、もしそのような自覚がないのであれば、▲の選手が最優先で取り組むべき課題はスタブロからのスタート加速練習です。スタートから10mを全力で走り、その10mタイムを計測すれば改善効果が判ります。▲の選手の場合、走り込み練習では必要とされるトレーニング内容をカバーできません。
▽の選手の場合は走りのフォームが悪いということになります。トップスピード領域での練習を繰り返すことは体力的にも出来ないので、ドリルを中心としたトレーニングでフォームの矯正をして行くことになります。特に▽の選手の場合、走り込みでの練習では悪いフォームを定着させてしまうリスクがあるで逆効果になる場合があります。
○の選手は走力相当の走りが出来ている選手です。前半と後半での走りのバランスが取れているので、トレーニングのやり方にも工夫が要ります。このバランスを崩さないように全体のレベルを引き上げて行かないと、現在それなりにまとまっているフォームの悪化を招いてしまう恐れがあります。○の選手は、男子100mタイムでは一つの関所になっている11秒6をクリア可能なレベルなので、記録をさらに大きく向上させるにはいくつもの高度な走技術の修得が必要です。
11秒6をクリアできる選手とできない選手とでは、記録をさらに伸ばすためのトレーニング方法が全く異質なものになってしまいます。特にその上の関所になっている11秒3をクリアするには、いくつかの高度な技術をマスターしないと実現できません。多くの選手が一所懸命練習してもなかなかその域に到達できないのは高度な走技術を修得できないからです。このクラスの選手では個々の選手が、それぞれ取り組む課題を持って個々で自分のトレーニングを行うスタイルになってしまいます。どこの筋肉を使って身体をどのように動かすかというテーマに取り組むことになります。したがって実際のトレーニングだけではなく、それを実現して行くためには広範囲な分野の座学も必要になります。
こうなると皆で同じメニューを行うスタイルのトレーニング方法では高度な技術の修得練習にはならないので、このクラスの走力を持つ選手からは一匹オオカミ的な練習スタイルになって来てしまうはずです。
 

14大学対校100m分析

 投稿者:多兵衛  投稿日:2008年 7月 5日(土)02時11分26秒
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  先日の14大学対校で100mに出場した電大生6名の走りをビデオ映像を元に分析してみました。以下の分析結果は、100mタイム/50m通過タイム/50~100m区間での平均速度(m/s)の順で記しています。

11.40/6.2/9.6
11.57/6.3/9.4
11.76/6.4/9.3
11.85/6.5/9.3
11.92/6.3/8.9
12.11/6.6/9.1

参考までに対校で優勝した選手を同じ観点で分析すると、

10.97/6.1/10,2

となっています。

このように分析してみると10秒台で走った優勝選手と比べてもほとんどの選手は50mの通過タイムが極端に遅いというわけでもありません。大きな違いは後半50m区間での平均速度にあります。この結果からは重大なことが結論づけられます。もし電大生が優勝選手と同程度の練習時間を費やしているのであれば、それは電大生が今まで行って来たトレーニング内容は100m選手としてのトレーニングにはなっていないということです。それが練習メニューの問題なのか、あるいは練習方法に問題があるのかまでは分かりませんが、少なくとも100m選手のトレーニングとして行われている現在の練習内容には重大な欠陥があるということをこの比較結果は物語っているといえます。
つまりトップスピードを磨くトレーニングが不足しているということです。トップスピードを磨くトレーニングを行おうとすると高負荷での走りをしなければならないので、1本走るごとに最低20~30分の休息が必要になります。その結果、1日のトレーニング時間内で走れる距離は極端に少なくなってしまいます。すなわち100mで記録を狙おうとする選手はトップスピードを上げるトレーニングが必須となるので、サーキット走や何本もの走り込みをするという練習は100m選手のトレーニング手法としては成立しないと考えられます。100mで11秒30を狙うためには10m/sのトップスピードを出せる走力が必要になると思います。
 

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